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「働き方の多様化を踏まえた被用者保険の 適用の在り方に関する懇談会 議論の取りまとめ」が公表されました。

執筆者の写真: 今鶴 孝今鶴 孝
「働き方の多様化を踏まえた被用者保険の 適用の在り方に関する懇談会 議論の取りまとめ」が公表されました。

7/3、厚生労働省「働き方の多様化を踏まえた被用者保険の 適用の在り方に関する懇談会」から「働き方の多様化を踏まえた被用者保険の 適用の在り方に関する懇談会 議論の取りまとめ」が公表されました。


この懇談会は、被用者保険における課題や対応について、社会保障審議会の医療保険部会や年金部会における検討に資することを目的に開催されたものです。これまでの被用者保険の適用拡大の状況と被用者保険の適用に関する基本的な視点から、

1⃣短時間労働者に対する被用者保険の適用範囲の在り方

2⃣個人事業所に係る被用者保険の適用範囲の在り方

3⃣複数の事業所で勤務する者等の多様な働き方を踏まえた被用者保険の在り方

について、被用者にふさわしい保障の実現、働き方や雇用の選択を歪めない制度の構築等の検討を行っていました。2024年2月に第1回目が開催されて、7月1日まで、計8回議論が行われています。


1⃣短時間労働者に対する被用者保険の適用範囲の在り方

短時間労働者に対する被用者保険の適用範囲の在り方については、

①労働時間要件

②賃金要件

③学生除外要件

④企業規模要件

のそれぞれからアプローチしています。


このなかで①労働時間要件について

2028(令和 10)年 10 月より雇用保険の被保険者の要件のうち、週の所定労働時間を「20 時間以上」から「10 時間以上」に変更し、 適用対象が拡大されること、最低賃金の引上げや非正規雇用労働者の賃上げが進んでいるため、労働時間が週 20 時間未満であっても賃金要件を満たす場合が出てくること等を踏まえ、本要件の引下げを検討する必要があるとの意見や、全ての労働者に被用者保険を適用することが望ましく、事業所等の負担とは切り離して検討して次期制度改正で引下げを行うべきとの意見があった。また、労働時間要件や賃金要件は、いずれかに該当すれば適用となる制度に見直すべきとの意見も あった。

とあり、見直すべきとする意見がある一方で

これまでの被用者保険の適用拡大においても指摘されてきたように、事 業所においては、被保険者が増えることによる保険料や事務負担の増加が経営に 大きな影響を与え得ること、短時間労働者が現状よりも更に就業調整を行う可能 性、複数事業所で適用要件を満たす事例が増加し、事業所や保険者における事務 負担が増加すること等を懸念する意見があった。

として、雇用保険の適用拡大等を踏まえ検討が必要との見方がある一方、これまでの被用者保険の適用拡大においても指摘されてきた保険料や事務負担の増加という課題は、対象者が広がることでより大きな影響を与えることとなるため、雇用保険の適用拡大の施行状況等 も慎重に見極めながら検討を行う必要があるとしています。


2⃣個人事業所に係る被用者保険の適用範囲の在り方

個人事業所に係る被用者保険の適用範囲の在り方については

事業所への影響の観点から慎重な意見も見られた が、労働者の勤め先や働き方、企業の雇い方に中立的な制度を構築する観点や、 強制適用となる業種の追加が断続的に行われていた1953(昭和 28)年までと比べると、我が国の産業構造が変化してきたこと、業種については制度の本質的な要請による限定ではなく合理的な理由は見出せないこと等から、まずは、常時5人 以上を使用する個人事業所における非適用業種を解消する方向で検討する必要があるとの見方が大勢を占めた。

として、常時5人以上を使用する個人事業所における非適用業種について、解消の方向で検討を進めるべきであると明確に記しています。


3⃣複数の事業所で勤務する者等の多様な働き方を踏まえた被用者保険の在り方

複数の事業所で勤務する者等の多様な働き方を踏まえた被用者保険の在り方については、多様な働き方の実態があり、

①複数の事業所で勤務する者

②フリーランス等

について議論がありました。


このうち①複数の事業所で勤務する者について

複数事業所での労働時間等を合算すれば適用要件を満たす者について、全ての労働者に被用者保険を適用する観点から適用対象とすることが望ましいとの意見がある一方、事業所側で複数事業所勤務の状況を把握するのが困難であること、医療保険者の事務負担が大きいこと等、実務的な課題が多く指摘された。

とありますが、実務的な課題について、

雇用保険においては、同時に2以上の 雇用関係にある労働者について、当該2以上の雇用関係のうち、当該労働者が生 23 (出所)総務省「平成 29 年就業構造基本調査」 15 計を維持するに必要な主たる賃金を受ける1つの雇用関係についてのみ被保険者 となるが、2022(令和4)年から 65 歳以上の労働者に限り本人からの申し出を起 点として2つの事業所の労働時間を合算して適用する制度を試行し、2027(令和 9)年を目途に検証することとされていることから、こうした制度の状況を踏ま えて検討するべきとの意見や、マイナンバーや IT 技術の活用等も視野に入れて検 討するべき、現行の適用事務は事業所の事務負担が大きいことからまずは手続の 合理化を進めるべき

との意見もあり、複数の事業所で勤務する者について、労働時間等を合算する是非は、マイナンバーの活用状況や雇用保険の施行状況等を参考に、 実務における実行可能性等を見極めつつ、慎重に検討する必要がある、としています。


この懇談会によって、短期的に改正を進めるべき点や中長期的に検討を進めるべき点が明らかになったのではないか、と考えています。


 

弊所は主に、建設業、トラック運送業、介護福祉事業、IT事業等の社会基盤となる事業の人事労務支援を行っている社会保険労務士事務所です。

業務遂行には様々なツールを使って生産性の向上に努めていますが、電子申請・DX・AIと、経営環境の変化をお感じの企業様もどうぞお気軽にご相談ください。


今鶴実践社労士事務所


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