本書『企業変革のジレンマ』は、『他者と働く』の著者のいう「構造的無能化」というキーワードをもとに、企業変革のジレンマを解き明かしたものです。
企業がイノベーションを生み出せず、変革が進まない理由のひとつとして、短期的な成果に囚われることで重要な長期的問題が後回しにされる現象を指摘しています。
著者は、国内外の事例や経営学の知見を用いて、この問題のメカニズムを分析しています。
印象的だったのは、「多義性」「複雑性」「自発性」の3つの論点に基づいて、組織の一人ひとりが戦略を考え変化を生み出せるようになるための具体的なプロセスが示されている点です。企業変革のプロセスとしてはコッターの「変革の8段階」が有名なところですが、著者は「危機感は組織を変えない」と論じ、「ナラティヴ・アプローチ」や「ポジティブ・デビアンス」などを活用し「組織をケアする」という視点からのアプローチを行っています。
企業変革の難問に対し、経営層からボトムメンバー層までが一丸となった、持続的な発展を実現するための道筋を示しています。企業における変革の本質を深く理解し、実践に結びつけたいと考える方々に強くお勧めします。
弊所は主に、建設業、トラック運送業、介護福祉事業、IT事業等の社会基盤となる事業の人事労務支援を行っている社会保険労務士事務所です。
業務遂行には様々なツールを使って生産性の向上に努めていますが、電子申請・DX・AIと、経営環境の変化をお感じの企業様もどうぞお気軽にご相談ください。
今鶴実践社労士事務所
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