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産後パパ育休期間の就業について

執筆者の写真: 今鶴 孝今鶴 孝

更新日:2024年6月24日

産後パパ育休期間の就業について

1️⃣概要

  • 原則として就業はできません。

  • 労使協定を締結した場合、労働者が合意した範囲内で就業可になります。

  • 労使協定に産パ休(出生時育児休業)期間中に就業させることができると定めた労働者に限り、産パ休期間中に就業することができる日等(以下、「就業可能日等」という。)を、休業開始前日まで事業主に申し出ることができます。

  • 提示後、休業開始予定日前日までに労働者の同意を得た場合に限り、労働者を就業させること ができます。

  • 労働者は就業日等の同意をした後も、休業開始予定日前日までであれば同意の全部又は一部を 撤回できます。休業開始後は、特別な事情がある場合に限り撤回することができます。


2️⃣産パ育休期間の就業に関する労使協定(法第9条の5第2項)

産後パパ育休期間の就業を可能とするには、産後パパ育休期間中に就業させることができる労働者についてあらかじめ労使協定を締結する必要があります(法第9条の5第2項)。


労使協定例

第 n 条(出生時育児休業中の就業)

出生時育児休業中の就業を希望する従業員は、就業可能日等を申出ることができるものとする。


3️⃣産パ育休期間の就業のための手順(全4ターム)

就業させる場合は、産パ休開始予定日前日までに、休業期間中に就業する日等を調整し、労働者と事業主の間で合意する必要があります。


1.労働者からの就業可能日等の申出

就業可能日等の申出は、次に掲げる事項を事業主に書面で申し出る(則第 21 条の15)事業主が適当と認める場合にはファックス又は電子メール等によることも可能です。

  • 就業することができる日(就業可能日)

  • 就業可能な時間帯(所定労働時間内の時間帯に限る)

  • その他の労働条件(就業の場所(テレワークの可否を含む)に関する事項等が考えられます)

電子メール等による場合は、労働者及び事業主が送信する情報を出力することにより書面を作成できるものに限ります。また、電子メール等には、例えば、イントラネット(企業内LAN)、web メール(Gmail 等)、SNS(LINE、Facebook 等)を利用した申出が含まれます。

事業主が労働者を就業させることができる一定の範囲(則第 21 条の 17)

  • 就業させることとした日(就業日)の合計日数が、産パ休期間の所定労働日数の2分の1以下(1日未満の端数切り捨て)

  • 就業日の労働時間の合計が産後パパ育休期間における所定労働時間の合計の2分の1以下

  • 産パ休開始予定日とされた日又は産後パパ育休終了予定日とされた日を就業日とする場合 は、当該日の労働時間数は当該日の所定労働時間数未満


2.労働者から就業可能日等の申出がなされたときの事業主のリアクション

事業主は、就業可能日等の申出がなされたときは、次に掲げる事項を労働者に速やかに書面で提示しなければなりません(則第 21 条の 15)。労働者が希望する場合にはファックス又は電子メール等によることも可能です。

  • 就業可能日のうち、就業させることを希望する日(就業させることを希望しない場合はその旨)

  • 就業時間帯

  • その他の労働条件(就業の場所(テレワークの可否を含む)に関する事項等が考えられます)


3.事業主が提示した就業日等に労働者が同意する場合

労働者は、事業主が提示した就業日等に同意する場合は、書面により同意する旨を伝える必要があります(則第 21 条の 16)。事業主が適当と認める場合にファックス又は電子メール等によることも可能です。


4.労働者の同意を得たときの事業主からの通知

事業主は、労働者の同意を得たときは、次に掲げる事項を労働者に速やかに書面で通知しなければなりません(則第 21 条の 16)。労働者が希望する場合にはファックス又は電子メール等によることも可能です。

  • 産パ休期間中の就業日等について同意を得た旨

  • 産パ休期間中の就業日時

  • その他の労働条件(就業の場所(テレワークの可否を含む)に関する事項等が考えられます)


4️⃣労働者が就業日等の同意について全部又は一部を撤回する場合(全2ターム)


1.労働者が就業日等の同意について全部又は一部を撤回する場合

労働者が、就業日等の同意について全部又は一部を撤回する場合は、次に掲げる事項(休業開始予 定日前日までに撤回する場合は③を除く)を事業主に書面で申し出ることが必要です(則第 21 条の 18)。事業主が適当と認める場合にはファックス又は電子メール等(※1)によることも可能です。

  • 同意を全部又は一部撤回する旨

  • 撤回する就業の年月日

  • 産後パパ育休開始後に、特別の事情があり撤回する場合は、その申出が許される事実


2.労働者から就業日等の同意の撤回の申出がなされたときの事業主

事業主は、就業日等の同意の撤回の申出がなされたときは、次に掲げる事項を労働者に速やかに書面で提示しなければなりません(則第 21 条の 18)。労働者が希望する場合にはファックス又は 電子メール等によることも可能です。

  • 同意の全部又は一部を撤回する申出を受けた旨

  • 産後パパ育休開始後の撤回の申出を拒む場合には、その旨及びその理由


5⃣Q&A


Q1 出生時育児休業中の就業は、労働者が希望すればいつでもできるのですか?

A1 まるで白ヤギさんと黒ヤギさんのお手紙ですが手順が法定されています。

出生時育児休業中の就業(以下「出生時育休中の部分就業」という。)は、労使協定 を締結している場合に限り、労働者と事業主の合意した範囲内で、事前に調整した上で休 業中に就業することを可能とするものです。具体的な手続きの流れは以下1~4のとおり です。

  1. 労働者が就業してもよい場合は、産パ休開始予定日の前日までに事業主に就業可能な日と時間帯等の条件を申出る。

  2. 事業主は、労働者が申し出た条件の範囲内で候補日・時間を提示(候補日等がない (就業させることを希望しない)場合はその旨)する。

  3. 労働者が事業主の提示の全部または一部を同意する場合、その旨を休業開始予定日の前日までに書面等で事業主に提出する。

  4. 事業主は同意を得た旨と就業させることとした日時その他の労働条件を書面で労働者に通知する。


Q2 派遣労働者が出生時育児休業中に就業する場合、就業可能日の申出・変更・撤回、 就業日の提示は派遣先と派遣労働者で直接行ってよいのですか。

A2 労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律第2条第 2号の派遣労働者については、派遣元と派遣労働者との間に労働契約関係があることか ら、派遣労働者は派遣元の事業主に対して出生時育児休業中の就業可能日の申出等を行 うこととなります。


Q3 出生時育児休業は、年次有給休暇の付与に係る出勤率算定に当たって、出勤した ものとみなされますか。また、出生時育児休業中に部分就業を行う予定であった日につ いて、欠勤した場合や子の看護休暇等の年休の出勤率算定に含まれない休暇を取得した 場合についてはどのようにみなされますか。

A3 出生時育児休業は法第2条第1号に規定する育児休業に含まれるため、出生時育児 休業をした期間についても、育児休業をした期間と同様に出勤率の算定に当たり出勤し たものとみなされます。 また、出生時育児休業中に部分就業を行う予定であった日について、欠勤した場合や 子の看護休暇等の年次有給休暇の付与に係る出勤率算定に当たり出勤したものとみなさ れない休暇を取得した場合であっても、その日については出生時育児休業期間中である ことから、出勤したものとみなされます。


Q4 出生時育児休業中に就業する場合、契約上の勤務時間以外の時間を労働者が申し出 てもよいのですか。(勤務時間外の夜間の2時間でテレワークであれば勤務可能など。)

A4 出生時育児休業中の就業可能な時間帯等の申出は、所定労働時間内の時間帯に限っ て行うことができますので、所定労働時間外の時間帯について、労働者は就業の申出を 行うことはできません。


Q5 出生時育休中の部分就業について、労働者から就業可能日等の申出があり、事業主 がその範囲内で日時を提示した後に労働者から就業可能日の変更の申出があった場合は どのように対応すればよいですか。

A5 出生時育児休業の開始予定日の前日までに労働者から変更の申出があった場合には、 事業主は、労働者から再度申出がされた変更後の就業可能日等について、再度就業可能 日等のうち、就業させることを希望する日(希望する日がない場合はその旨)及びその 時間帯その他の労働条件等を労働者に提示(規則第 21 条の 15 第4項)し、労働者の同 意を得る必要があります。


Q6 出生時育休中の部分就業について、就業可能日等の申出の際に労働者は従事する業 務内容についても申し出ることはできますか。その場合、事業主が労働者を就業させる ことができるのは、労働者が申し出た業務内容の範囲に限られますか。

A6 労働者からの申出可能な内容は「就業可能日」「就業可能日における就業可能な時間 帯その他の労働条件」であり、業務内容が「労働条件」の範囲内であれば(例えば、テ レワークで実施できる集計業務に限って就業可能と申し出る、等)、労働者から申し出る ことができ、事業主は労働者の申出の範囲内で就業させることができることとなります。


Q7 派遣元とその事業所の過半数労働組合等との労使協定において出生時育休中の部分 就業が可能とされた派遣労働者から申出があった就業可能日について、当該派遣労働者 を(派遣元の事業所ではなく)派遣先において就業させる場合、当該派遣労働者が、派 遣先とその事業所の過半数労働組合等との労使協定において定められた「出生時育児休 業期間中に就業させることができるもの」にも該当している必要があるのですか。

A7 派遣元とその事業所の過半数労働組合等との労使協定において定められた「出生時 育児休業期間中に就業させることができるもの」に該当していれば足ります。


 

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