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​応募が集まる求人票の書き方

​なぜ、同じような条件なのに応募が集まらないのか

「求人を出しても応募がない」「同じような条件なのに、他社は採用できている」——採用にお悩みの経営者様から、よくご相談をいただきます。

 

原因の多くは、求人条件そのものではなく、求人票の「書き方」にあります。実際に、ある調査では、求職者がハローワークインターネットサービスで求人を検索した際、検索結果一覧から「詳細を見る」まで進む求人は、年代を問わずおおむね「数件(2〜3件)程度」にとどまることが分かっています(20代54.4%、30代49.2%、40代56.8%、50代51.6%、60代44.3%が「数件程度」と回答)(注1)。つまり、一度も詳細を見てもらえない求人票が、多数存在している可能性があるのです。

 

さらに、視線の動きを記録する「アイトラッキング」調査によると、求人票の中で求職者が最も注視しているのは「仕事の内容」欄で、次いで「就業時間」「就業場所」と続きます(注2)。数多くの求人情報の中から、限られた時間で自社の求人票を選んでもらうには、「仕事の内容」欄を中心に、求職者目線で書き込むことが、人材確保の重要なポイントになります。

 

ハローワーク飯田橋が公開している調査データもご紹介しながら、要点を解説します。

​まずは、ハローワークをぜひご活用ください

ハローワークは、全国500か所以上、年間の新規求職者数は約400万人という規模を持つ、公的な求人サービスです。掲載費用は一切かからず、オンラインでも利用できます。

求人票の書き方に迷ったときも、まずは地域のハローワークの窓口にご相談いただくことをおすすめします。求人票の作成や求人条件について専門的な見地から助言を受けられるほか、就職面接会や会社説明会の開催、各種助成金のご案内まで、事業主の人材確保を全力でサポートしてくれる存在です。

また、「みんなの労働ナビ」や各都道府県労働局が公開する「労働市場月報」「求人・求職バランスシート」(職業別・産業別の求人賃金額を毎月集計)では、地域別・職種別の求人動向や賃金水準を無料で確認できます。求人条件を考えるうえでの参考に、ぜひ一度目を通してみてください。

その上で、この記事では、求人票を「求職者目線」でさらに磨き込むための具体的なコツをご紹介します。

​求人票の「見られ方」を知る

「仕事の内容欄」は冒頭90文字が大切

求人票を書く前に、まず知っておきたいのが「求職者に、求人票がどう見られているか」です。

 

ハローワークインターネットサービスでの検索は、

①検索条件の設定

 ↓

②検索結果一覧の表示

 ↓

③求人票(詳細)の表示 という流れで進みます。

このうち、②の検索結果一覧でどう表示されるかが、③まで進んでもらえるかどうかの分かれ目です。

求人票の「仕事の内容」欄は30文字×12行、最大360文字まで記載できます。しかし検索結果一覧に表示されるのは、そのうち30文字×3行、冒頭90文字だけです(注2)。残りの270文字は、詳細を開いてもらえて初めて読んでもらえます。つまり、最初の3行に何を書くかが最大の勝負どころになります。

 

「アイコン表示​」の仕組みも知っておく

もう一つ知っておきたいのが、「アイコン表示」の仕組みです。求人条件が次のいずれかに該当する場合、検索結果一覧にアイコンで強調表示されます(注2)。

 

経験不問/学歴不問/資格不問/時間外労働なし/書類選考なし/週休二日制(土日休)/転勤なし/通勤手当あり/駅近(徒歩10分以内)/マイカー通勤可/UIJターン歓迎/トライアル雇用併用

 

応募が伸び悩んでいる場合は、自社の求人にこれらのアイコンがいくつ表示されているか、同業他社と比較してみることも、見直しのヒントになります。

​求人票に必要な3つの視点

求人票を作成する際は、次の3つの視点を押さえておく必要があります。

 

法令の視点 

労働基準法、職業安定法、男女雇用機会均等法など。法令に違反する内容や、必要な労働条件が明示されていない求人は、ハローワークで受理されません。

経営の視点

どのような仕事を、どんな雇用形態・賃金で任せるか。労働市場や求職者の動向を踏まえた条件設定が重要です。

人の視点

求人票の先には「人」がいます。求職者にとって分かりやすく、納得感のある情報になっているかどうかが、応募の分かれ目です。

 

このうち、多くの企業で抜け落ちがちなのが「人の視点」です。求職者の立場に立って初めて見えてくる情報があります。

​求職者目線の求人票、3つの基本方針

欲しい人材に向けたものにする

どんな人物像に届けたいのかを明確にし、その人に響く情報を選んで書く。
 

分かりやすく・読みやすいものにする

「アットホームな職場です」のような曖昧な表現は避け、具体的な数値や実例で語る。ただし、枠いっぱいに情報を詰め込みすぎると、かえって読まれにくくなる点にも注意が必要です。
 

目に留まるものにする

一覧画面で選ばれなければ、詳細は読んでもらえない。冒頭90文字と職種欄の28文字が勝負どころ。​

​求人票、8つの記載欄のコツ

ハローワークの求人票のうち、特に工夫の余地が大きい8項目について、記載のコツをご紹介します。

① 職種(28文字)

職種は、商品名や書籍のタイトルのようなものです。「事務職」「営業職」で終わらせず、「営業(法人・既存中心)」のように、仕事内容や働き方が伝わるキーワードを盛り込みましょう。

② 仕事内容(360文字)

求職者が最も重視する項目です。第一印象を決めるのは冒頭90文字。単なる業務の名称や箇条書きで終わらせず、求職者が「働いている自分の姿」をイメージできる書き方を心がけます。「1日の業務スケジュール」を例示すると、さらにイメージしやすくなります。「未経験者歓迎」も、「特別な資格や経験は不要です。入社後は先輩社員が一つずつお教えします」のように具体化すると伝わり方が変わります。

③ 賃金

求職者が特に重視する項目の一つです。「基本給+定額的に支払われる手当」だけでは希望額に満たなくても、家族手当や住宅手当などの各種手当を含めれば希望に応える場合があります。手当があるのに記載がないと、「手当がないのでは」と誤解され、応募を見送られてしまうこともあります。手当の名称・支給条件・金額はできる限り詳細に、可能であれば年齢や家族構成に応じた「モデル賃金」も記載すると、求職者がより具体的にイメージできます。

 

④ 就業時間に関する特記事項(120文字)

シフトのサイクルや繁忙期の勤務パターンなど、働き方を具体的にイメージできる情報を。夜勤がある場合は頻度(月◯回程度)を、可否について相談できる場合はその旨も記載しましょう。時間外労働についても、「毎年12月と3月が繁忙期になり、20〜30時間程度の残業が発生します」「効率よく業務を終えており、18時過ぎにはほとんどのスタッフが帰宅しています」など、実態に応じた具体的な記載が、入社後のミスマッチを防ぎます。

 

⑤ 休日等(60文字)

「月に◯日休み」だけでは伝わりません。土日出勤がある場合はその頻度、夏季休暇や年末年始休暇の実績など、独自の休暇制度も具体的に紹介しましょう。実際に休暇があるのに記載がないと、「休暇がないのでは」と誤解され、応募を見送られてしまうことがあります。

⑥ 事業内容(90文字)/⑦ 会社の特長(90文字)

「雰囲気のよい会社です」は、社名を変えても通用してしまいます。固有名詞や実績を交えて、自社ならではの個性を語ることが重要です。書き方に迷ったときの言い回し例をいくつかご紹介します。

  • 「当社は◯◯で有名な企業ですが“環境にやさしい企業”を目指して、技術開発に取り組んでいます」

  • 「少人数精鋭で、業界ではトップクラスの実績をあげています」

  • 「取引先に大手企業も多く、業績は安定しています」

  • 「家庭の都合による勤務時間の調整が可能で、仕事と育児を両立している社員も多数います」

  • 「60歳以上の方も数多く活躍しており、みんながいきいきと働いている職場です」

外国人雇用の実績がある場合は、「外国人雇用実績」欄に「あり」と記載しましょう。この記載があることで、外国人の求職者が「日本人でなければ採用されないのでは」という不安を持たずに応募しやすくなります。

 

⑧ 求人に関する特記事項(600文字)

求人票最大のスペースです。各項目で書ききれなかった情報の補足に加え、職場の様子、人材育成の仕組み、募集の背景や入社後の期待など、「この会社で働きたい」と思ってもらえる情報を積極的に盛り込みましょう。選考方法(書類選考に不安を感じる求職者も多いため、「まずは会ってみたい」場合は直接面接も検討を)、筆記試験がある場合はその内容、選考結果の通知時期(1週間〜10日程度が一般的とされています)についても、できる限り具体的に記載すると、求職者の不安を減らせます。公式SNSアカウントがある場合は、その旨を記載してアカウントへ誘導すると、動画や画像で職場の雰囲気を伝えることができます。

また、検索結果一覧に表示される「職種」または「仕事内容」の最初の3行に、自社の魅力を凝縮したキャッチコピーを入れておくと、一覧画面での目の引き方が変わります。(例:「年間休日130日」「残業なし」「有休消化率98%」「創業80年の安定企業」)

 

なお、事業所情報として一度登録すると、以降は全ての求人票に共通して表示される項目(事業内容、会社の特長、資本金、職務給制度、育児・介護・看護休業の取得実績、ホームページアドレス等)は、登録時から見直されないまま放置されがちです。取得実績があるのに「なし」のままになっていないか、ホームページアドレスが「http://」を省略した形で登録されておりリンク切れになっていないか、あわせてご確認ください。

​労働条件、募集前に見直したい3つの落とし穴

賃金は「下限」が重要

賃金額は応募の有無にはっきりと影響します。求職者は、賃金の上限・下限のうち、下限を重視する傾向があります。上限を高く見せることだけに気を取られず、下限の水準そのものが妥当か、確認してみましょう。

試用期間中の労働条件に要注意

応募が全くない求人によく見られるのが、試用期間中の賃金が本採用時に比べて相当低く設定されているケースです。「最低賃金スレスレの時給で3か月間」のような条件は敬遠される傾向にあります。できるだけ、本採用時との差をつけない設定にしましょう。

必須でない資格や経験は、なるべく「不問」に

業務の都合上、資格や経験が必須の場合ももちろんあります。ただし、必須条件を設定すると応募率が下がる傾向があるため、必須でない場合は、できるだけ「不問」とし、面接などで見極める方法も検討してみてください。

たとえば普通自動車運転免許は、都道府県によって保有率に大きな差があります(保有率1位:群馬県67.1%、最下位:大阪府53.9%(注3))。若年層ほど保有率が低い傾向もあり、業務上本当に運転が必要かどうか、必要ならどんな車種・場面かを仕事内容欄に具体的に記載した上で、必須化の要否を検討する価値があります。

​「年収の壁」を意識せず働ける環境づくりも、アピール材料に

パート・アルバイト等で働く方の中には、社会保険料の負担が生じる年収のボーダーライン、いわゆる「年収の壁」を意識して、就業時間を調整する方が少なくありません。こうした「働き控え」は、本人の所得向上だけでなく、企業の人手不足解消の妨げにもなり得ます。

手当の支給等によって、壁を意識せず希望どおり働ける環境づくりに取り組んでいる場合は、その旨を求人票に記載することで、家庭の事情で就業時間を抑えていた層にもアピールできます。

​オンライン化で、応募の間口を広げる

在宅勤務(テレワーク)

通勤時間の負担や、育児・介護との両立を理由に、在宅勤務を希望する求職者は少なくありません。事務、システムエンジニア、Webデザイナーなど在宅勤務が可能な職種で、選択制も可能であれば、「在宅勤務可(テレワーク可)」と明記しましょう。

オンライン面接

面接のための移動時間・交通費は、求職者にとって負担になります。特に、居住地が遠方の場合や、複数社の面接が重なる場合は尚更です。対面面接だけでなく、オンライン面接も選択可能であれば、その旨を記載しましょう。

Eメールによる応募書類送付

応募方法が「郵送」のみだと、封筒代・切手代の負担が生じます。Eメールでの送付も選択できるようにすると、応募のハードルが下がります(インターネット環境がない方のために、郵送等の選択肢も残しておくと、より多くの求職者に対応できます)。

オンライン自主応募

ハローワークが開いている時間に来所できない在職中の求職者にも対応できます。建設・警備・運輸・医療・福祉など、人手不足が深刻な職種では特に有効です(利用には、求人者マイページへの登録が必要です)。

​建設業・介護福祉事業・トラック運送業ほど、求人票の工夫が生きる

弊所がご支援している業種の中でも、建設業、介護福祉事業、トラック運送業は、人材確保の厳しさが際立っています。

 

建設業は、技能労働者の高齢化が進む一方で若年層の入職が伸び悩み、現場を支える人材の確保が年々難しくなっている業種です。時間外労働の上限規制の適用も本格化し、限られた人員でどう工期を守るかという課題も重なっています。

 

介護・福祉分野は、地域の求人統計でも常に上位を占める「人手不足の代名詞」のような業種です。処遇改善加算による賃金の底上げが進む一方、事業所間で限られた人材を奪い合う構図は変わっていません(詳しくは介護事業のページもご覧ください)。

 

トラック運送業も同様です。2024年問題による残業上限規制の適用開始以降、ドライバーの労働時間管理と賃金制度の両立が大きな課題となっており、採用の難易度はさらに上がっています(詳しくはトラック運送業のページもご覧ください)。

 

このように、求職者数に対して求人数が多い「売り手市場」の業種ほど、他社との横並びの求人票では埋もれてしまいます。裏を返せば、求人票の書き方を工夫するだけで、同業他社との差がつきやすい業種でもあります。

建設業(管工事業)の例

職種欄(改善前):配管工事士募集
職種欄(改善後):住宅給排水設備の配管工事士(未経験歓迎・3年で一人前を目指せます)
仕事内容欄では、「配管施工管理・設計業務」で終わらせず、「①施工・施工管理(実際の配管工事の施工)②メンテナンス・修理(水漏れ、詰まり等の対応)③給排水設備の設計(CADソフトを使った図面作成)」のように業務を切り分けて具体的に示し、給水・排水の国家資格取得を会社がサポートする旨を添えると、未経験者にも挑戦しやすい印象になります。

 

介護職の例

職種欄(改善前):介護職
職種欄(改善後):介護職(デイサービス/週休二日制・シフト相談可)
仕事内容欄では、「利用者様への生活支援全般」で終わらせず、「入社後3か月は先輩職員と1対1で同行し、業務の流れを覚えていただきます」など、未経験の方が抱える不安に先回りして応える書き方が効果的です。

 

トラックドライバーの例

職種欄(改善前):ドライバー募集
職種欄(改善後):中距離ルート配送ドライバー(週休二日・夜間走行なし)
就業時間に関する特記事項では、拘束時間や休息期間の考え方、「月平均残業時間◯時間程度」など、改善基準告示を踏まえた具体的な数値を示すことで、応募のハードルが下がります。歩合給制度を採用している場合は、その仕組みと保障給の考え方も併記すると、求職者の不安を減らせます。

​求人条件の見直しは「魅力ある職場づくり」とセットで

応募が集まらない場合、求人条件の緩和(年齢制限の撤廃、資格要件の見直し、賃金の引き上げ等)が有効なことがあります。ただし、条件を書き換えるだけでなく、その背景にある「魅力ある職場づくり」——評価制度、人材育成、多様な働き方、労働環境の改善——に取り組むことが、根本的な解決につながります。実際、従業員満足度を重視する企業ほど、人材確保も業績も安定している、というデータもあります。

求人票は、単なる募集要項ではなく、自社の「魅力ある職場づくり」の到達点を映す鏡でもあります。

​ハローワークと、弊所と

ここまでご紹介したコツは、まずはぜひ、ハローワークの窓口でご相談いただきながら、実際の求人票に反映してみてください。無料で専門的な助言を受けられる、頼れる存在です。

その上で、

  • そもそもの評価制度や賃金体系まで踏み込んで見直したい

  • 複数の求人票を並行して見直したい、外部の目でチェックしてほしい

  • 採用から定着までを一体で設計したい

といったご要望がございましたら、弊所もお手伝いできます。求人票の見直しだけでなく、その土台となる評価制度・賃金制度・労働環境の改善まで含めてご支援しています。まずは30分、無料でお話をお聞かせください。

出典脚注

注1 ハローワーク品川が令和4年8月に実施したアンケート結果を引用(ハローワーク飯田橋「求人票を作るコツ」Vol.1)
注2 出典:労働政策研究・研修機構「労働政策研究報告書No.147」(ハローワーク飯田橋「求人票を作るコツ」Vol.1)
注3 「令和4年度運転免許統計」(警察庁)「2022年10月1日時点の都道府県別人口推計」(総務省統計局)より(ハローワーク飯田橋「求人票を作るコツ」Vol.7)

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