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今鶴実践社労士事務所|東京都中央区


下請法改正を歓迎するトラック運送業界が直面する実効性の課題
令和8年1月1日施行の下請法改正は、トラック運送業界にとって長年の課題解決に向けた重要な一歩として評価されていますが、反面、その実効性の確保が最大の焦点となっています。 トラック業界の深刻な現状 トラック運送業界は、全業種で最も価格転嫁率が低く、36.1%(全業種30位)という状況にあります。 令和7年11月公表中小企業庁資料より 001.pdf さらに、トラック事業者の81.4%が改善基準告示等の労働基準法関連法に違反しており、その最大の原因は「荷待ち時間が長い、発生することが多い」ことだと言われています。 令和7年8月8日公表 労働基準監督署等が自動車運転者を使用する事業場に対して行った令和6年の監督指導、送検等の状況を公表します|厚生労働省 現場では、「優越的地位の濫用だと荷主に訴えたところで、仕事を切られることにもなりかねない」という強い懸念があり、立場の弱さが問題解決を阻んできました。 法改正がトラック業界にもたらす変化 この状況に対し、今回の法改正では、以下の点でトラック業界の取引環境改善が期待されています。 発荷主との取引の

今鶴 孝
7 日前


逆パワハラでもう無理と思ったときに読む本
本書では、部下からの刺々しい仕打ちや反抗的な態度、嫌味のある言葉などに苦しむ上司の状況を取り上げています。上司の立場にある人々は、自分の気持ちを押し殺して「上司なら冷静に」と振る舞おうとしますが、抑圧された感情は心に病を生じさせることがあり、良いことではありません。そこで、逆パワハラで苦悩する上司の気持ちを言語化するとともに、その具体的な対処法を提供してくれます。 逆パワハラの進行パターンを理解する 本書では、部下からの反発がエスカレートする状況を3つのパターン(ゾーン)に分類して説明しています。 1. 部下からの奇襲(突発性の高いもの): 驚きゾーン。 2. 部下からの反抗(継続性の高いもの): 忍耐ゾーン。 3. 部下からの排斥(陰湿性の高いもの): 助けてゾーン。 特に、「驚きゾーン」で対応を誤ると、長期的に組織内の連携と信頼が損なわれ、生産性や競争力の低下につながるリスクがある、としています。 上司のための処方箋 逆パワハラに対処し、部下がモンスター化(反抗的な行動が常態化)した状況を改善するための処方箋が提示されています。重要なのは、感

今鶴 孝
11月22日


価格交渉はどう変わるか?改正下請法が定める「価格決定」と「支払い」の新ルール
一方的な価格決定はNG。中小受託事業者の資金繰りを圧迫する手形も禁止に 改正下請法は、公正な取引を実現するため、具体的な商慣習の是正に踏み込んでいます。ここでは特に重要な二つの変更点、「協議を適切に行わない代金額の決定の禁止」と「手形払等の禁止」について解説します。 協議を適切に行わない代金額の決定の禁止 従来の下請法には、代金を不当に安く買い叩く行為(買いたたき)を禁止する規定がありましたが、今回の改正では、価格交渉プロセスに着目した規定が新設されました。 • コストが上昇しているにもかかわらず、発注者側が協議に応じなかったり、コスト増に見合わない価格を一方的に決定したりする慣習が、価格転嫁を阻害していました。 • 中小受託事業者が価格協議を求めたにもかかわらず、協議に応じない、または必要な説明を行わないなど、一方的に代金を決定して中小受託事業者の利益を不当に害する行為が禁止されます。 • これは、単に価格が低いかどうかだけでなく、価格交渉の場が適切に設けられ、必要な情報交換や説明が行われたかが問われることを意味します。価格決定のプロセスが重要

今鶴 孝
11月22日


「構造的な価格転嫁」の実現へ。令和8年施行「下請法・下請振興法」改正の全体像
令和8年1月1日、日本の取引慣行に大きな影響を与える「下請法」と「下請振興法」の改正が施行されます。この法改正は、物価上昇を上回る賃上げの実現を目的とし、サプライチェーン全体でコスト増を適切に価格に転嫁させる「構造的な価格転嫁」の実現を目指すものです。「賃上げ」は「物価上昇」を上回ることができるのか、会計的にちょっと疑問ではあるのですが・・・。 1. 法改正の背景 なぜ今、改正が必要なのか 近年、労務費、原材料費、エネルギーコストが急激に上昇しています。中小企業が賃上げの原資を確保するためには、コスト上昇分を価格に適切に転嫁することが不可欠です。 しかし、実際には、協議に応じない一方的な価格決定など、受注者に負担を押し付ける商慣習が根強く残り、価格転嫁を阻害してきました。こうした課題を解決し、取引の適正化を一層推進するために、複数の政府方針に基づき、有識者の議論を経て今回の法改正が決定されました。 2. 改正の柱 「対等なパートナーシップ」への転換 今回の法改正は、単なる規制強化に留まらず、発注者と受注者がより対等なパートナーシップを築くことを促

今鶴 孝
11月18日


介護職員等処遇改善加算から学ぶ、経営を変える視点
介護事業所の多くの経営者や事務担当者にとって、「介護職員等処遇改善加算」は、複雑で手間のかかる作業と思われがちです。でも、この厄介な事務作業の中に、実は組織を改革して、成長を促すための重大なヒントが隠されています。 1. 「何ができるか」より「何をするか」を問う役割等級制度への転換 処遇改善加算を取得する上で必ず必要とされる「キャリアパス要件Ⅰ」をクリアする上で、組織は人事制度の根幹に関わる戦略的な選択を迫られます。それは、「職能資格制度」と「役割等級制度」のどちらを軸にするかという問題です。 職能資格制度 「何ができるか」を問い、個人の保有スキルや潜在能力を評価の基準とします。 役割等級制度 「何をするか」を問い、特定の役割における貢献度や成果を評価の基準とします。 処遇改善加算の要件を満たす上では、後者の「役割等級制度」がより適合性が高いと考えられます。というのも、この制度がまず企業の戦略的な目的・目標という「外」に目を向け、それを達成するために必要な役割を定義し、その役割に従業員を紐づけるからです。従業員個人の能力という「内」から始める職能

今鶴 孝
11月13日


労働基準監督署等が自動車運転者を使用する事業場に対して行った令和5年の監督指導、送検等の状況が公表されました。
労働基準監督署等が自動車運転者を使用する事業場に対して行った令和5年の監督指導、送検等の状況が公表されました。

今鶴 孝
2024年8月8日


連合が「2024春季生活闘争(2024春闘)まとめ」を公表しました。
連合(日本労働組合総連合会)が、7/19に「2024春季生活闘争まとめ」を公表しました。 ◆2024春季生活闘争まとめ:連合 https://www.jtuc-rengo.or.jp/activity/roudou/shuntou/2024/houshin/data/matome20240719.pdf?2096 2024春闘は、物価高騰や人手不足といった厳しい経済状況下で行われましたが、連合が掲げた賃上げ目標を大きく上回る成果を上げています。 連合は、主な成果として、 ・賃上げ率の向上:1991年以来となる5%台という高い賃上げ率が実現し、デフレマインドからの脱却に向けた大きな一歩となった。 ・労使間の意識改革:物価高騰による家計への影響や人手不足問題など、労働者と企業が共通の課題を抱えていることを認識し、双方で賃上げの重要性を共有できた。 中小企業への支援:大企業だけでなく、中小企業への賃上げ支援も進んだ。 としている一方で、今後の課題として 賃上げの持続性:一過性の賃上げではなく、持続的な賃上げを実現するための仕組みづくりが求められている。

今鶴 孝
2024年8月5日




組織不正はいつも正しいーソーシャル・アバランチを防ぐにはー中原翔(著)
本書は、組織不正がどのように組織内部で「正しさ」として構成され、不正行為が正当化されるかを探求しています。 組織不正が単なる個人の倫理観の欠如ではないことや、燃費不正、不正会計、品質不正、軍事転用不正の具体的事例を通じ、組織内部での「正しさ」の基準がどのように形成され、歪め...

今鶴 孝
2024年7月6日


「働き方の多様化を踏まえた被用者保険の 適用の在り方に関する懇談会 議論の取りまとめ」が公表されました。
7/3、厚生労働省「働き方の多様化を踏まえた被用者保険の 適用の在り方に関する懇談会」から「働き方の多様化を踏まえた被用者保険の 適用の在り方に関する懇談会 議論の取りまとめ」が公表されました。 この懇談会は、被用者保険における課題や対応について、社会保障審議会の医療保険部...

今鶴 孝
2024年7月4日


派遣業・紹介業許可申請の「財産要件」について
許可申請にあたって1番先に確認することは「財産要件」です。これがクリアできていないと許可申請の手続きが先に進みません。

今鶴 孝
2024年6月29日




「最低賃金の対象となる賃金」と「割増賃金の対象となる賃金」
「最低賃金の対象となる賃金」と「 割増賃金の対象となる賃金」混同されませんようにご注意ください。

今鶴 孝
2024年6月26日


出生時育児休業の申出期限を労使協定で定めるポイント
1⃣出生時育児休業の申出期限 ・原則2週間前までです。(法第9条の3第3項) ・雇用環境の整備等の措置(法第22条)を労使協定で定めることにより、現行の育児休業と同様に1か月前までとすることができます。(法第9条の3第4項)...

今鶴 孝
2024年6月22日


産後パパ育休期間の就業について
1️⃣概要 原則として就業はできません。 労使協定を締結した場合、労働者が合意した範囲内で就業可になります。 労使協定に産パ休(出生時育児休業)期間中に就業させることができると定めた労働者に限り、産パ休期間中に就業することができる日等(以下、「就業可能日等」という。)を、休...

今鶴 孝
2024年6月22日


令和6年度の労働保険の年度更新期間は6/1~7/10、算定基礎届は7/10が提出期限です。
労働保険年度更新の時期です。今年は 6/1~7/10 の期間です。 ◆令和6年度労働保険の年度更新期間について:厚生労働省HP https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun...

今鶴 孝
2024年6月19日


フリーランス法のガイドラインが公表。フリーランス法特設サイトも公開されました。
フリーランス・事業者間取引適正化等法が令和6年11月1日に施行されます。 「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」(フリーランス・事業者間取引適正化等法)(令和5年度法律第25号)が令和5年4月28日に可決成立し、同年5月12日に公布されました。令和6年11月1日...

今鶴 孝
2024年6月19日


「外国人介護人材の業務の在り方に関する検討会 中間まとめ(案)」が公表されました。
令和6年6月19日、厚労省外国人介護人材受入れの在り方に関する検討会より「外国人介護人材の業務の在り方に関する検討会中間まとめ(案)」が公表されました。 平成27年2月4日の「外国人介護人材受入れの在り方に関する検討会中間まとめ」で、①「訪問系サービスは利用者と介護者が1対...

今鶴 孝
2024年6月19日


改正育児介護休業法が成立。令和7年4月から順次施行です。
改正育児介護休業法が成立。令和7年4月から順次施行です。 令和6年5月24日に改正育児介護休業法が国会で成立し、5月31日付で公布されました。令和7年4月から順次施行となります。 「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(育児介護休業法)は、...

今鶴 孝
2024年6月17日


「高齢者等終身サポート事業者ガイドライン」が公表されました
R6.6.11、厚労省老健局から「高齢者等終身サポート事業者ガイドライン」が公表されました。 「高齢者等終身サポート事業者ガイドライン」 の策定について 「高齢者等終身サポート事業」は高齢者等に対して身元保証や死後事務、日常生活支援等のサービスを行う事業をいいます。弊所も同...

今鶴 孝
2024年6月13日