下請法改正を歓迎するトラック運送業界が直面する実効性の課題
- 今鶴 孝

- 1 日前
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更新日:8 時間前
令和8年1月1日施行の下請法改正は、トラック運送業界にとって長年の課題解決に向けた重要な一歩として評価されていますが、反面、その実効性の確保が最大の焦点となっています。
トラック業界の深刻な現状
トラック運送業界は、全業種で最も価格転嫁率が低く、36.1%(全業種30位)という状況にあります。
令和7年11月公表中小企業庁資料より 001.pdf
さらに、トラック事業者の81.4%が改善基準告示等の労働基準法関連法に違反しており、その最大の原因は「荷待ち時間が長い、発生することが多い」ことだと言われています。
現場では、「優越的地位の濫用だと荷主に訴えたところで、仕事を切られることにもなりかねない」という強い懸念があり、立場の弱さが問題解決を阻んできました。
法改正がトラック業界にもたらす変化
この状況に対し、今回の法改正では、以下の点でトラック業界の取引環境改善が期待されています。
発荷主との取引の対象化
従来、規制対象外だった発荷主から元請運送事業者への運送委託が、下請法および下請振興法の新たな規制・支援対象に追加されました。これにより、発荷主による荷積みの強要や、長時間の荷待ちといった問題に、行政が機動的に対応できるようになります。
価格協議の義務化
協議を行わない代金額の決定の禁止が新設されました。
全国トラック協会はこれを高く評価しています。
業界が直面する「実効性のフェーズ」
全国トラック協会は法改正を歓迎しつつも、この法律が運用の伴わないお飾りに終わることを強く懸念しています。
法の実効性を確保するための重要な課題として、以下の点が挙げられています。
認知度格差の解消
「中小や地方の荷主は、改正物流法を全くご存知ないという声もある」と指摘されており、荷主側への周知徹底が急務です。
変動コストの反映
燃料費や労務費などの変動要素をどのように適正原価に反映させるか、その仕組みの構築が大きな議論点となっています。
監視・執行の強化
優越的地位の濫用を恐れる現場の声を背景に、全ト協は、公正取引委員会、中小企業庁、国土交通省など関係行政機関の連携強化や、荷主団体・荷主企業への改正法の周知徹底を強く求めています。
法改正により法的基盤は整いましたが、今後は、この法をいかに執行し、業界の隅々にまで浸透させるかという「実効性のフェーズ」に移行しているといえるでしょう。
弊所は主に、建設業、トラック運送業、介護福祉事業、IT事業等の社会基盤となる事業の人事労務支援を行っている社会保険労務士事務所です。
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今鶴実践社労士事務所



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