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執筆者の写真今鶴 孝

派遣業・紹介業許可申請の「財産要件」について

更新日:6月29日

派遣業・紹介業許可申請の「財産要件」について

数年前までは派遣が多かったのですが、最近、職業紹介の許可申請のお問い合わせが増えています。

労働者派遣業、職業紹介業は許可制です。厚生労働大臣に許可申請を行います。

許可申請にあたって1番先に確認することは「財産要件」です。これがクリアできていないと許可申請の手続きが先に進みません。


派遣業の財産要件

  1. 基準資産が2,000万円以上必要です。この基準資産は、直近の決算書で確認します。資本金とは違いますのでご注意ください(⇒かなりの方が誤解されています)。 2,000万円≦基準資産=資産合計ー繰延資産ー営業権ー負債合計 で計算します。 繰延資産(開業費等)も営業権(のれん等)も最終的には償却してなくなってしまうので、資産から控除します。 たまに「市場知識」という無形資産を見ることがありますが…これも控除すべきですよね。

  2. また、基準資産は負債の額÷7より多くなくてはいけません。 基準資産≧負債÷7 つまり、財務レバレッジの話です。両辺に7をかけて基準資産を加えて、基準資産で割ると 8≧(負債+基準資産)/基準資産 財務レバレッジは8以下でなければならない。8倍を超えると財務状態としては危険だと考えているわけです。 (中小企業の財務レバレッジの全産業平均は2.4倍⇒中小企業庁「令和5年中小企業実態基本調査速報」。平均は業界によって異なります。突出して高い宿泊業平均で7.18倍⇒中小企業庁「令和4年中小企業実態基本調査確報」。)

  3. 現預金が1,500万円以上必要です。派遣業は派遣労働者への給与支払が先で、派遣先からの派遣料の収入があととなることも多いので、現預金についても条件があります。

令和5年中小企業実態基本調査速報


職業紹介業の財産要件

  1. 基準資産は500万円以上

  2. 財務レバレッジの要件はない。

  3. 現預金150万円以上

派遣業の要件よりも緩いことが一目瞭然ですね。

これは、派遣労働者を「雇用」している派遣事業と、職業紹介事業会社と求職者は「雇用関係にない」という違いだと考えられます。


財産要件を満たしていない場合

財産要件を満たさないままで許可申請をするすべはありません。

ただし、直近の決算書では財産要件を満たしていないが、直近の月次決算書では財産要件を満たしている場合、公認会計士の監査をうけて証明書を発行してもらうことで、許可申請を進めることが出来ます。

また、増資等で基準資産を増やすことも一つの選択肢です。(増資後に月次決算を公認会計士に監査してもらう流れになります)


 

弊所は主に、建設業、トラック運送業、介護福祉事業、IT事業等の社会基盤となる事業の人事労務支援を行っている社会保険労務士事務所です。

業務遂行には様々なツールを使って生産性の向上に努めていますが、電子申請・DX・AIと、経営環境の変化をお感じの企業様もどうぞお気軽にご相談ください。


今鶴実践社労士事務所






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