今鶴実践社労士事務所|東京都中央区

会社設立をした事業主様
はじめまして
今鶴実践社労士事務所と申します。
弊所は主に、建設業、道路貨物運送業、介護福祉事業、IT企業等の社会基盤となる事業の人事労務支援を行っている社会保険労務士事務所です。
このページでは、会社設立をした事業主様向けに、社会保険手続の解説をします。
新しく会社を立ち上げる
その興奮と希望に満ちたスタートの一方で、創業者を待ち受けるのが、山のような事務手続きです。特に、健康保険や厚生年金保険といった「社会保険」への加入手続きは、ルールが複雑で専門的。後回し、放置、自己判断は、後々大きな問題に発展しかねません。
日々、多くの創業者をご支援する専門家として、皆様が同じ轍を踏まないよう、特に見落としがちな、しかし非常に重要な社会保険手続きの「意外な落とし穴」をいくつか解説します。これから会社を設立する方、設立して間もない経営者の方は、ぜひご一読いただき、スムーズな事業運営の第一歩としてください。
実は、猶予はたった5日
会社設立の慌ただしさの中、健康保険・厚生年金保険に新たに加入するために必要な「新規適用届」は、加入義務が発生した「事実発生」、つまり法人の場合は「会社の設立登記日」から、わずか5日以内に提出しなければなりません。
驚くほど短い期間に、この「新規適用届」を、社長や従業員を被保険者として登録するための「被保険者資格取得届」と同時に提出する必要があります。
できれば設立と同時に新規適用届を出したいものです。遅れれば遅れるほど、取締役や従業員への保険証の交付が遅れ、医療機関での受診に支障をきたすだけでなく、年金事務所からの督促や指導につながる可能性もあります。
社長一人だけでも強制加入
「うちはまだ社長1人だけの会社だから、社会保険は関係ない」との考えは、大きな誤解です。
法人事業所(株式会社や合同会社等)は、たとえ従業員がおらず、社長1人だけであっても、社会保険への加入が義務付けられています。これは、法人が法律上、社長個人とは別人格(=法人格)として扱われるためです。社長は法人に「使用される」立場となり、報酬を受け取る以上、被保険者となります。
一方で、個人事業主の場合は扱いが異なります。常時5人以上の従業員を使用している場合に強制加入となり、それ未満の場合は任意加入です。さらに農業や漁業、一部のサービス業(クリーニング業、飲食店、ビル清掃業等)は、5人以上でも強制加入の対象外となります。また、間違えやすい点としてあげられるのは、個人事業主の場合、事業主自身はその事業所の厚生年金保険に加入できず、加入対象は従業員のみとなることです。
この法人と個人事業主との違いを理解しておくことはとても重要です。
添付書類は鮮度が大事
行政手続きにおける「鮮度」の感覚。ちょっと何言ってるかわからない、という方も多いでしょう。社会保険の手続きでは、様々な添付書類を求められますが、その一部には「有効期限」があります。
「法人(商業)登記簿謄本」や「住民票(コピー不可)」といった公的な証明書は、年金事務所への提出日からさかのぼって「90日以内に発行されたもの」でなければなりません。これは、行政機関が最新の正しい情報に基づいて審査を行うために定められたルールです。
せっかく法務局や役所で書類を取得しても、提出が遅れて90日を過ぎてしまうと、その書類は無効となります。そうなると、申請は返戻され、再度書類を取り直すという二度手間が発生し、手続き全体が遅延する原因になります。書類の準備は計画的に行ってください。
登記された本店と、実際の事業所住所が違う場合
会社の登記簿に記載されている「登記上の所在地」と、実際にオフィスを構えて事業を行っている「事業所の所在地」が異なるケースは少なくありません。この場合、社会保険の書類は、どちらの住所を管轄する年金事務所に提出すればよいのでしょうか。
正解は、「実際に事業を行っている事業所の所在地」を管轄する事務センターまたは年金事務所です。これは、社会保険の適用や調査は、あくまで労働者が実際に働いている現場を基準に行われるという原則に基づいています。登記上の住所地を管轄する事務所に提出しても受け付けてもらえず、大きなタイムロスにつながります。注意しましょう。
また、登記上の所在地と実際の事業所の所在地が異なる場合は、申請時にその事業所の場所を証明するために「賃貸借契約書のコピー」などの添付が別途必要になります。手続きをスムーズに進めるためにも、自社の実態に合った正しい窓口を事前に確認しておくことが肝心です。
各種の届出等の事務処理については、社会保険労務士が代行することができます。新規適用手続をまだ行っていない事業主の方は、どうぞご相談ください。
