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​就業規則の改定から始まった、現場との対話

​ある運送会社の組織開発プロセス

就業規則の見直しという、よくある依頼から始まった関わりです。制度を整えるだけでは終わらず、営業所長会議に加わりながら、現場と一緒に問題の捉え方そのものを作り直していくことになりました。従業員約130名、二代目経営の運送会社での事例です。

▶1. きっかけ:就業規則を見直したいという相談

以前からお付き合いのあった運送会社の社長から、「就業規則を見てほしい」という相談を受けました。2024年問題(時間外労働の上限規制の適用、改善基準告示の改正)に対応するための整備です。

▶2. 制度を整えただけでは、終わらなかった

古い就業規則だったため、改定自体は必要な作業でした。自動車運転者の残業上限や新しい改善基準告示の内容を盛り込み、就業規則は仕上がりました。ただ、それで2024年問題が片付いたわけではありませんでした。むしろ、ここからが本番でした。

▶3. 現場に入る

就業規則の運用方法を説明するため、営業所長会議に出席させてもらうことにしました。会議室の空気は重く、正直なところ「来るんじゃなかった」と思うような反応でした。数字の上での問題と、現場の実感との間には距離がありました。

▶4. 問題を「共有する」ために

2024年問題がなぜ起きているのか。ドライバーの健康状態、睡眠と事故発生の関係、労働時間法制や改善基準告示の内容といった知識を、会議の場に持ち込みました。制度の説明ではなく、問題の背景を一緒に見るための材料としてです。

▶5. ある発言をきっかけに

ある営業所長の発言をきっかけに、「2024年問題で会社を潰さない」という共通認識が、営業所長たちの間で自然に形成されていきました。上から示した方針ではなく、現場の側から出てきた合意でした。

▶6. 変わっていった会議の質

その後、営業所長会議は数字の報告会ではなくなっていきました。「私はこう思う」と、主語が自分になる発言が増えました。意見が対立することも多くなりましたが、それでけんかになることはありません。問題の見通しが立ったことで、むしろ不安は減っていきました。

▶7. 現場から生まれたガイドライン

議論の中で、「ドライバーの正確な残業時間を把握できていない」という具体的な課題が見えてきました。「休憩」と「待機」の区別があいまいだったことが原因ではないか、という営業所長からの指摘です。営業所長会議が主体となって、両者を区別するガイドラインを作成しました。

▶8. 今も、続いている

2024年問題が解決した、という話ではありません。営業所ごとに拘束時間の把握の問題や、運送原価の問題も新たに見えてきました。それでも、課題をみんなで話し合いながら扱っていく体制は、この関わりの中で少しずつできてきたことです。

弊所が大切にしている視点

制度(就業規則)を整えることと、現場でその制度が機能することの間には、距離があります。その距離を埋めるのは、正しい制度の説明ではなく、現場が問題をどう体験し、意味づけているかに耳を傾けること、そして対話を通じて問題の捉え方自体を関係者と一緒に作り直していくことだと考えています。一つの営業所の課題は、その営業所だけの問題ではなく、会社全体のやり取りの中で生まれています。制度と現場の両方を見ながら関わる、というのが弊所のスタンスです。

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