今鶴実践社労士事務所|東京都中央区
業務ポリシー
弊所の仕事の考え方
「トラブルを起こさない」ことから始まった仕事
5年ほど前まで、私たちの仕事の主なテーマは、
「従業員とのトラブルを、いかに起こさないか」
でした。
労働法を守る。
就業規則を整える。
適切な労働時間管理をする。
問題が起きたときには、会社として適切に対応する。
それは今でも、社労士の重要な仕事です。
会社を守ること。
従業員との無用なトラブルを防ぐこと。
法令を守り、適切な労務管理を行うこと。
そこに社労士としての大きな役割があることは、今も変わりません。
でも、それだけで会社は良くなるのだろうか
さまざまな会社の仕事に関わる中で、少しずつ疑問を持つようになりました。
トラブルを防ぐ。
問題が起きないようにする。
制度を整える。
それだけで、本当に会社は良くなっていくのだろうか。
実際には、
「就業規則は整っているのに、現場では守られていない」
「評価制度を作ったのに、社員の行動は変わらない」
「求人票を見直したのに、応募が増えない」
「給与を改善したのに、人が定着しない」
「『何かあれば報告してほしい』と言っているのに、問題が起きると誰も報告しない」
そんな会社があります。
そこには、法律や制度だけでは説明できないものがありました。
問題を起こしているのは「人」なのか
ある会社で問題が起きたとき、
「問題を起こした社員が悪い」
と考えることは簡単です。
しかし、その社員は、なぜその行動を選んだのでしょうか。
何をすると評価されると思っていたのでしょうか。
何をすると怒られると思っていたのでしょうか。
困ったとき、誰かに相談できると思っていたのでしょうか。
過去に何度も「報告しても怒られる」という経験をしていたとしたら、
次に問題が起きたとき、その人が報告しないことは、それほど不思議ではありません。
人は、制度だけを見て働いているわけではありません。
日々の経験をもとに、
「この会社では、こうするのが普通だ」
という予測をつくり、その予測に従って行動しています。
私たちは、それを「組織の癖」と考えています
会社には、それぞれの「癖」があります。
たとえば、
「忙しいときは、とにかく現場が何とかする」
「問題を報告すると面倒なことになる」
「頑張っても評価は変わらない」
「管理者が全部抱える」
「お客様の要求は断れない」
「ベテランのやり方には口を出せない」
こうしたものは、就業規則には書かれていません。
しかし、社員は知っています。
そして、その「癖」が、日々の判断や行動をつくっています。
採用できない。
人が辞める。
残業が減らない。
事故やミスが報告されない。
管理者が疲弊する。
制度が機能しない。
そうした問題の背景に、組織の「癖」があることがあります。
だから現在の私たちは、目の前の問題だけを解決しようとはしません。
その問題を生み出している組織のあり方まで見ようとします。
データと現場の両方を見る
だからといって、私たちは「経験と勘」だけで組織を判断することもしません。
必要に応じて、
-
賃金
-
労働時間
-
人件費
-
採用状況
-
離職状況
-
求人市場
-
地域の人口や産業構造
-
事業所の収支
などのデータを確認します。
数字を見ることで、見えていなかった問題が見えてくることがあります。
しかし、数字だけでは、
「なぜ、そうなっているのか」
までは分かりません。
だから、データを見る。
そして、現場を見る。
経営者や管理者、社員の話を聞く。
そこで得た仮説を、もう一度データで確かめる。
私たちは、データと対話を行き来しながら、問題の構造を考えます。
制度は、目的ではなく「社会技術」です
私たちは、就業規則や給与制度、人事制度を単なるルールとは考えていません。
制度は、人の行動に影響します。
何を評価するのか。
何に賃金を払うのか。
何を報告させるのか。
何を禁止するのか。
会社として何を大切にするのか。
制度は、会社から社員へのメッセージでもあります。
だから、
「法律上正しい制度を作る」
だけでは十分ではありません。
その制度によって、
「社員にどんな行動をしてほしいのか」
まで考える必要があります。
私たちにとって制度は、
組織を変えるための社会技術
です。
求人票も、組織づくりの一部です
「応募が来ないから、求人票を改善する。」
もちろん、それも一つの方法です。
しかし私たちは、その前に考えます。
なぜ応募が来ないのか。
地域の求人市場では、どのような条件が提示されているのか。
自社の賃金や労働条件はどうなのか。
会社が伝えたい魅力と、社員が実際に感じている魅力は一致しているのか。
そして、
求人票に書かれている、会社と実際の職場は一致しているのか。
求人票だけを変えても、職場そのものが変わらなければ、採用の問題は根本的には解決しません。
だから私たちは、求人票も組織づくりの一部だと考えています。
「トラブルを防ぐ」から、「会社をより良くする」へ
5年前までの私たちは、
「会社をトラブルから守ること」
を仕事の中心に置いていました。
今は、それに加えて、
「会社がより良く機能するためには、何を変えればいいのか」
を考えています。
もちろん、法律を守ることは大前提です。
労働トラブルを防ぐことも重要です。
しかし、それはゴールではありません。
トラブルを起こさない。
人を採用する。
人に辞められない。
残業を減らす。
制度を整える。
それらはすべて、その先にある
「会社をより良くする」
ための手段です。
だから、私たちは「何を変えるか」を最初から決めません
就業規則を変えることが必要な会社もあります。
給与制度を変えることが必要な会社もあります。
求人票を変えることが必要な会社もあります。
管理者との対話が必要な会社もあります。
データを分析することから始めたほうがいい会社もあります。
大切なのは、
「何を売るか」ではなく、「その会社に何が必要なのか」
を考えることです。
そのために、
現場を見る。
データを見る。
人の話を聞く。
組織の癖を見る。
必要な制度を考える。
実際に変えてみる。
そして、その結果を見る。
この繰り返しを大切にしています。
社労士として、会社を守る
そして、その先へ。
私たちは、社労士です。
だから、法律を守ります。
会社を守ります。
従業員とのトラブルを防ぎます。
しかし、それだけでは終わりません。
会社には、それぞれの歴史があり、
それぞれの経験があり、
それぞれの「当たり前」があります。
その「当たり前」が、人の行動をつくっています。
だから私たちは、
制度だけではなく、その制度が置かれている組織そのものを見る。
そして、
会社の中にある「当たり前」を、少しずつ変えていく。
それが、現在の弊所の仕事の考え方です。
制度は目的ではありません。
組織を変えるための手段です。