【2026年12月施行】日本版DBS「こども性暴力防止法」で変わる労務管理の実務ポイント
- 今鶴 孝

- 5 時間前
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2024年6月に成立した「こども性暴力防止法(通称:日本版DBS)」が、いよいよ2026年12月25日に施行されます。教育・保育現場においてこどもを性暴力から守るための新制度ですが、その運用にあたっては「性犯罪前科の確認」という重大な個人情報と、「就業規則や人事配置」といった労働法制が複雑に交錯します。
ここでは、こども家庭庁が公表したガイドラインや資料に基づき、制度の全体像から、企業・事業者が今から準備すべき労務実務のポイントまでを解説します。

1. 「こども性暴力防止法」の制度骨格
まず、制度の基本的な仕組みを整理しておきましょう。
目的と背景: 支配的・優越的な立場に立ちやすい教育・保育現場での性暴力を未然に防ぎ、こどもの権利を守ることを目的としています。
対象事業者: 学校設置者等(学校、幼稚園など)や認可保育所等のほか、一定の要件を満たした認可外保育施設や民間教育事業者(学習塾・スポーツクラブ等)が含まれます。
犯罪事実確認の仕組み: 事業者がこども家庭庁を経由して法務省へ特定性犯罪の前科を照会します。本人のプライバシー保護のため、結果はまず従事者本人へ事前通知され、異議がある場合の訂正請求権も保障されています。
照会対象となる前科の有効期間: 拘禁刑の終了から20年以内、執行猶予確定から10年以内、罰金刑の終了から10年以内と規定されています。
2. なぜ労務担当者にとって重要なのか?
「前科を照会する手続」自体は行政手続ですが、「確認した結果をどう人事・雇用管理に反映させるか」「情報をどう厳重に管理するか」は完全に労働法および個人情報保護法の領域です。
事業者が対応を怠ったり判断を誤ったりすると、安全確保義務違反や不当解雇、あるいは重大なプライバシー侵害といった労務トラブルへ直結します。顧問先や自社を守るためにも、人事労務の観点からの制度設計が不可欠です。
3. 実務で講ずべき「安全確保措置」の4ステップ
ガイドラインでは、日頃の予防から万が一の事態への対応まで、事業者が講ずべき安全確保措置のプロセスが示されています。
ステップ | 主な実施内容 |
① 未然防止 | ・服務規律の整備と周知(就業規則・マニュアルへの明記) ・施設環境の整備(死角の解消、防犯カメラ等の活用検討) ・従事者への研修実施(こどもの権利や「不適切な行為」の認識共有) |
② 早期把握・相談 | ・日常観察や定期的な面談・アンケートの実施 ・事業者内の相談窓口の設置および外部相談窓口の周知 |
③ 初期対応・調査 | ・疑いが生じた際の一時的な接触回避措置 ・客観的証拠の保全と、公平・中立なヒアリング調査の実施 |
④ 調査を踏まえた対応 | ・配置転換などの防止措置の実施 ・被害児等への心理的ケア・保護および再発防止策の策定 |
特に日頃の予防策として、「1対1の密室状態を作らない環境整備」や「どのような行為が不適切にあたるのかを従事者・保護者双方に周知すること」が強調されています。
4. 2026年12月までに準備すべき3つの労務実務
施行日に向けて、事業者は以下の3点について見直しを進める必要があります。
① 就業規則・内規の改定
内定取消・配置転換規定: 採用前の照会で照会結果が出た場合の採用内定取消しや、在職中の従事者に前科や不適切行為が判明した場合の配置転換・業務制限に関する条項を整備します。
不適切な行為・調査協力義務: 性暴力そのものだけでなく、前段階となる「不適切な行為(SNSでのプライベートなやり取り等)」の禁止規定や、事実確認の調査に協力する義務を明確化します。
② 誓約書・入社手続のアップデート
採用応募者や現職者から、犯罪事実確認の手続(照会手続やアカウント作成等)を行うことへの同意や、規定を遵守する旨の誓約書を取り交わすフローを構築します。
③ 情報管理規程の整備
照会結果などの犯罪事実確認記録等は、極めて厳格な管理が求められます。取扱者を必要最小限に限定し、アクセス権限の管理や不正アクセス防止策(セキュリティソフト導入等)を明記した「情報管理規程」を策定する必要があります。
5. まとめ:早めの労務環境のアップデートを
こども性暴力防止法は、単なる行政手続きの導入にとどまらず、事業所の雇用管理や労務リスク対策全般の再設計を求めるものです。
2026年12月の施行直前に慌てることのないよう、就業規則の改定や情報管理体制の構築、研修の計画など、早期から見直しを進めていきましょう。
特定社会保険労務士/認定経営革新等支援機関 今鶴孝
弊所は主に、建設業、トラック運送業、介護福祉事業、IT事業等の社会基盤となる事業の人事労務支援を行っている社会保険労務士事務所です。
業務遂行には様々なツールを使って生産性の向上に努めていますが、電子申請・DX・AIと、経営環境の変化をお感じの企業様もどうぞお気軽にご相談ください。



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